YomiWake の使い方
1. はじめに
要るもの
- Mac(macOS 13 以上)
- VOICEVOX(無料の音声合成ソフト)。公式サイトの「ダウンロード」から Mac の版を入れて、YomiWake を使う間は起動しておく。声を作るのは VOICEVOX で、YomiWake は読みを確かめて VOICEVOX に渡す
- インターネット(読みを確かめるとき。「速い」段階も、解析は当方のサーバで行う。合成と再生はつながっていなくてもできる)
入れる
- サイトの「ダウンロード」から dmg を落とす
- dmg を開き、YomiWake を「アプリケーション」へ入れる
- YomiWake を開く。初めて開くとき、Mac が「インターネットからダウンロードされたアプリです。開いてもよろしいですか?」と聞くので「開く」。開発元として出る「Kazunobu Shimomoto」は、運営する株式会社 山愛 マスマールの代表者です
初めて開いたとき
「はじめに」の窓が開く(はじめの 1 回だけ)。
- VOICEVOX: 「つながっています(○ 声)」と出れば準備ができている。「見つかりません」なら、VOICEVOX を入れて起動し、「確かめ直す」
- すぐ使えます: 「見本を開く」で読み分けの見本(3 行)が開く。「合成する」で聞ける。自分の原稿は「原稿を開く」。ログインしなくても「速い」段階(AI を使わない)で、確かめ・直し・合成・書き出しが使える(確かめは 1 日 20 万字、合成は 30 回、保存は 10 回まで。あなたの辞書に覚えるのはログインしてから)
- AI でもっと正確に(ログイン・無料): メールアドレスを入れて「認証コードを送る」→ 届いたメールの 6 桁の認証コードを入れて「ログイン」。macOS が「キーチェーンへのアクセスを許可しますか」と聞いたら「常に許可」。ログインは無料で、カードの登録も要らない。ログインしただけでお金がかかることはない(払うのは、自分でクレジットを買うか月額プランに申し込んだときだけ)。登録すると無料で 1,000 クレジット(30 日)
「あとで」で閉じてもよい。ログインは、設定 →「基本」の「アカウント」からもできる。「ふつう」より上の段階を選んで確かめると、そのときにログインを求める。
2. 基本の流れ
① 原稿を開く
- 「原稿を開く」でテキストのファイル(
.txt)を選ぶ。本文の欄に直接書いたり貼ったりしてもよい - 青空文庫のファイルもそのまま開ける(→ 5 章)
- テキストエディットで作った原稿は、先に「フォーマット」→「標準テキストにする」で保存しておく(リッチテキストの
.rtfは開けない)
② 段階を選ぶ
| 段階 | すること | クレジット |
|---|---|---|
| 速い(fast) | 辞書と解析だけで読む。AI には何も送らない | 0 |
| ふつう(standard) | 読みの分かれる語を、前後の文ごと AI(Jev)に問う | 問うた語の数だけ |
| ていねい(careful)・最大(max) | Jev が迷った語(最大はキャッシュに無い語すべて)を、YomiWake の上位の AI(OpenAI のモデル)にも問う。ご自分の OpenAI の鍵を入れたときは、その鍵で あなたの OpenAI に問う(下の「自分の OpenAI の鍵」) | 上位の AI が答えた語 1 つで 2(ほかはふつうと同じ)。自分の鍵のときはふつうと同じ(OpenAI の費用はあなたの OpenAI の請求) |
迷ったら「ふつう」。
③ 読みを確かめる
- 「読みを確かめる」を押す。AI を使う段階では、先に「このあと ○ クレジット(多くて ○)」と見積もりが出る
- 「読み(確認)」のタブに、色付きのルビが出る
- 色の付いたルビ: 辞書や AI が確かめた読み(色で誰が決めたかが分かる。色の説明は画面の下)
- 淡いルビ: 解析器の読みのまま(AI は確かめていない)
- 点線の語: AI に自信が無かった語。ここを重点的に聞き直す
- 下の欄に「○ クレジット使いました(残り ○)」
④ 違う読みを直す
- 語をクリックすると、右に読みの候補と確かさが出る
- 正しい読みを選んで「この読みにする」→ その原稿だけの直しになる
- 次の原稿でも同じ読みにしたいときは「この読みで覚える」(→ 3 章「あなたの辞書」)
- 候補に正しい読みが無いときは、「自分で入力する読み」にひらがなで入れる
区切りがおかしい所(「月初」が「つき はつ」になる など)は、マウスでなぞって選ぶ(16 字まで)と、その範囲の読みを直せる。読みを知っていれば自分で入れ、分からなければ「AI に聞く」。
⑤ 合成して聞く
- 話者(声)を選び、話速・音高・抑揚を決める
- 「合成する」→ 下の再生の欄で聞く
- 右の「行から再生」で行をクリックすると、その行から読む。読んでいる行は、本文でも黄色になる
- 再生中の行をもう一度クリックすると止まる
- 「行へ」に行番号を入れて Enter で、その行から
- 読みを直してからもう一度「合成する」と、変わった文だけを作り直す(速い)
- 「WAV を保存」
⑥ 保存する
- 「保存」で
.yomiwake.jsonに保存する。確かめた読み・直し・声の設定が残り、開き直しても AI に問い直さない(クレジットも使わない) - 「テキストで保存」で、原稿だけ・ルビ付き(青空文庫の形・HTML)・全文ひらがな を書き出せる
3. あなたの辞書
同じ語をいつも同じ読みにしたいときに使う。
- 語を選んで「この読みで覚える」→ どの原稿でも、AI に問わずにその読み(クレジットも使わない)
- 読みの候補が 2 つ以上ある語(火傷: かしょう・やけど)は「誤読として指定」→ 候補として覚え、文脈で AI に選ばせることもできる
- 設定 →「語の辞書」で、名前を付けた辞書(IT 用語・法律用語 など)を作れる。原稿ごとに、ツールバーの「語の辞書」で使う辞書を選ぶ
- CSV の読み込み: 1 行 1 語。
競売,けいばい(いつもこの読み)、遺言,いごん|ゆいごん(候補。文脈で選ぶ) - 同じ語が 2 つの辞書にあるときは、一覧で上の辞書が勝つ
- CSV の読み込み: 1 行 1 語。
- 辞書はあなたの Mac の中だけにある。サーバに送るのは、原稿に出てくる語だけ
- VOICEVOX のユーザー辞書との違い(辞書は 1 つの語に 1 つの読み。文脈で読みの変わる語は辞書では直らない)は VOICEVOX の読み間違いを直すには に、実際に測った数とともにまとめた
4. 長い作品・台本
章ごとに合成する
- 章の頭の行に
# 第一章のような見出しを書く(#と空白と題)。ツールバーの下に「章」の欄が出る - 「まだの章と変わった章を合成」→ 初めはフォルダを選ぶ。中に章ごとの WAV(
01_第一章.wav…)と章の一覧ができる - 1 字直すと、その章だけ「変わった」になり、次はその章だけ作り直す
- 「止める」で途中で止め、あとで続きから
- 全部できたら「1 本にまとめる」で
全体.wav- 「章ごとの字幕も書く」(はじめは入っている)で、章の WAV と同じ名前の字幕(
01_第一章.srt…)も書く。形(SRT・WebVTT)とルビの入れ方は、「字幕を保存」で最後に選んだもの(はじめは SRT・ルビなし)。「1 本にまとめる」と全体.srtも書く(時刻は全体.wavと同じ)。字幕の無い章(この機能の前に書き出した章など)があるときは全体.srtを書かないので、その章を合成し直す
- 「章ごとの字幕も書く」(はじめは入っている)で、章の WAV と同じ名前の字幕(
- 章の題をクリックすると、本文のその章へ移る
目安: 1 回の合成は 2 万字(音声で約 70 分)ほどまで。それより長い作品は章に分ける(何十万字でも 1 章ずつ作る)。1 万字の合成は 5 分ほど。
台本(話し手つき)
中部つるぎ:今日はいい天気ですね。や【語り手】そうですね。の形で書いた原稿を開く。「台本の形のようです」と聞くので「読む」- 配役の欄で、話し手ごとに声を選ぶ(VOICEVOX の話者と同じ名前なら自動)
- 名前は読み上げない。話し手が変わる所には少し間が入る
- 「台詞ごとに保存」で台詞ごとの WAV・一覧・クレジットの文、「字幕を保存」で字幕(話し手の名前を付けるか選べる)を書き出せる
作った音声の公開は、VOICEVOX と各キャラクターの利用規約に従ってください。 配役の欄に印の付いたキャラクターは、商用の利用に別の条件がある。クレジットの書き方も、キャラクターごとの公式の頁で確かめる。
5. 青空文庫などルビ付きの原稿
- 「諸君《しょくん》」の形のルビがある原稿を開くと、「ルビを取り込みますか?」と聞く。「取り込む」で、ルビが読みの直しになる(AI には問わない)
- 冒頭の記号の説明と、末尾の底本の情報は取り除く。大見出し・中見出しは章の見出しになる
- 青空文庫の zip から取り出したファイル(Shift_JIS)もそのまま開ける。「開く」の窓で見つからないときは、右上の検索に名前を入れる
6. この Mac の辞書(明治〜昭和初期の文語文)
明治〜昭和初期の文語文や歴史的仮名遣いの原稿(『遠野物語』など)は、この Mac の MeCab と、ご自分で入れた辞書で読めます。原稿はこの Mac の外に出ず、AI も使いません。
おすすめの辞書: 国立国語研究所の「近代文語 UniDic」(https://clrd.ninjal.ac.jp/unidic/download_all.html#unidic_kindai )。
- この辞書の条件は CC BY-NC-SA 4.0(表示・非営利・継承)です。 非営利の朗読には使えますが、有料で配る音声の制作など営利に使うときは、配布元の条件をお読みのうえ、配布元にご相談ください。条件を守るのは辞書を入れた方です(利用規約 第 6 条の 3)
- 辞書は YomiWake には入っていません。ご自分でダウンロードしてください
入れ方:
- MeCab を入れる: ターミナルで
brew install mecab(Homebrew が要ります。MeCab の辞書は入れなくてよい) - 上の頁で条件を読んでから、近代文語 UniDic の zip(約 1.3 GB)をダウンロードし、展開する(約 2.5 GB)。置き場所は自由(例: 「書類」の中)
- YomiWake の設定 →「この Mac の辞書(MeCab)」→「MeCab の場所」を確かめ、「フォルダを選ぶ」で 2 で展開したフォルダ(中に
dicrcがあるフォルダ)を選び、「設定を保存」 - ツールバーの「解析の辞書」を「この Mac の辞書(MeCab)」にする。下の状態の欄に「この Mac の辞書: 使える(MeCab・辞書あり)」と出れば準備ができている
- 「読みを確かめる」→ 水色のルビが辞書の読み。違う読みは語をクリックして直す(その原稿だけ)。段階は選べない
- 「合成する」で、辞書の発音(言ふ → いう、助詞の は → わ)で読み上げる
ほかの辞書でも、MeCab 用にコンパイルされた UniDic の形の辞書(発音形が項目の 10 番目にある)なら使えます。
7. 自分の OpenAI の鍵と校閲
自分の OpenAI の鍵
ていねい・最大の段階、範囲の欄、校閲は、鍵が無くても YomiWake の上位の AI(OpenAI のモデル)で使えます(クレジットは「8. クレジットと料金」)。ご自分の OpenAI の鍵を持っている方は、入れるとその鍵で問えます。
- OpenAI の API の頁(platform.openai.com)で口座を作り、支払いの方法を入れて、API keys で鍵(
sk-で始まる)を作る - YomiWake の設定 →「基本」→「自分の AI の鍵(OpenAI。詳しい設定)」に貼って「鍵を保存」。鍵は Mac のキーチェーンに入り、画面には戻らない。チャットなどに貼らない
- 「使うモデル」を選ぶ(はじめは GPT-6 Luna。安い)
- 問う段落は この Mac から OpenAI(米国)へ直接 送る。YomiWake のサーバは通らず、鍵もサーバに送らない
- 費用は あなたの OpenAI の請求 になる。YomiWake のクレジットは Jev の分だけ。送る前に見積もりが出て、上限(設定の「AI の費用」)を超えるときは聞く。使った分は「AI の費用の記録」に「(あなたの OpenAI)」で残る
- 答えた語は緑の「あなたの OpenAI」の色
- OpenAI の規約はご自身で守る: OpenAI の対応する国から使う(旅行先などで口座が止められることがある)、OpenAI の口座で送った内容を学習に使わせる設定を入れない
- 鍵が使えない(期限切れ・止められた・残高が無い)・上限に当たったときは、そう知らせて、残りの語は Jev の読みのまま
- 「このモデルを使う許可がない」と出たら: OpenAI のダッシュボードの Settings → Project → Limits の「Allowed models」で使えるモデルが絞られている。使うモデル(例
gpt-6-luna)を足す(効くまで数分かかることがある)
校閲
確かめた読みを上位の AI(鍵を入れたときはあなたの OpenAI)に読ませ、辞書に無い誤読も探す機能。
- 全文: 「読みを確かめる」の後に「AI に校閲させる」(鍵を入れたときは「あなたの OpenAI に校閲させる」)。段落ごとに送り、「校閲をやめる」でそこまで
- 一部だけ: 語をクリックした欄の「この語を含む文を AI に校閲させる」、または 17 字以上をなぞって「この文を AI に校閲させる」
- 直した語は紫の下線。「元に戻す」で前の読みに戻せる。「選んだ語を辞書に覚える」で辞書にも入れられる
- 送る前に見積もりが出る
8. クレジットと料金
- 値段(税込み): 月額プラン 300 円で毎月 5,000 クレジット。クレジットの袋は 100 円で 1,000・400 円で 5,000・1,200 円で 20,000(買った日から 180 日)。登録から 30 日は 1,000 クレジットが無料
- 「ふつう」の段階で AI に問うた語 1 つが 1 クレジット
- ていねい・最大の段階・範囲の欄・校閲で、上位の AI が答えた語 1 つが 2 クレジット、校閲 1 段落が 10 クレジット(答えられなかったときは減らない。ご自分の OpenAI の鍵で問うた分は減らない)
- 設定 →「アカウント」に、残高(月の分・買った分と期限)・プラン
- 減るのは AI に問うた語(と校閲の段落)だけ。速い段階・合成・書き出し・辞書で決まった語・前に確かめた語は減らない
- 足りないときは AI に問わずに知らせる。「クレジットを買う」でブラウザの支払いの頁が開く
- 解約・カードの変更・領収書は「支払いの管理」から(Stripe の頁)。解約しても、その月の終わりまで月の分を使える
9. あなたの原稿の扱い
- 原稿・音声・辞書・設定は、あなたの Mac の中にある
- 読みを確かめる・合成するとき、原稿の文は当方のサーバに送る(どの段階でも。辞書と解析器がサーバにあるため)。サーバは読みを付けて返したら原稿を捨て、残さない
- 「ふつう」の段階では、そのうち問う語とその前後の文だけを AI のサービス(TypeSafe AI。米国の会社)に送る。AI のサービスは学習に使わない。「速い」の段階は AI に送らない
- ていねい・最大・範囲の欄・校閲では、問う語と前後の文(校閲は段落)を、当方のサーバから OpenAI(米国の会社)に送る(答えを OpenAI に残さない指定で送る)
- ご自分の OpenAI の鍵を入れたときは、ていねい・最大・範囲の欄・校閲で、問う段落と今の読みを この Mac から OpenAI へ直接 送る(YomiWake のサーバは通らない)
- 台本の話し手の名前と章の見出しは、送る前に伏せる
- AI に送りたくないときは「速い」の段階を使う。当方のサーバにも送りたくない原稿は、ご自分で入れた解析の辞書(「6. この Mac の辞書」。この Mac の中だけで読む)を使うか、その部分を外してから確かめる
- 読みを直したときは、その語・直す前と後の読み・前後の 2 語ずつを、辞書の改善のため当方に送る(ログインしているときだけ。はじめて送ったときに知らせる)。文全体・原稿の名前は送らない。前後の語の人名・地名などと数字、話し手の名前は「*」に伏せる。多くの人が同じ直しをした語は、確かめてから YomiWake の辞書に足し、みなさんの原稿で AI に問わずにその読みにする。止めるときは、設定 →「アカウント」→「直した読みを、辞書の改善のため YomiWake に送る」を外す。送った中身は設定 →「記録」で見られる。近代文語の辞書で読んでいるときは送らない
10. 困ったとき
| 出たこと | すること |
|---|---|
VOICEVOX: つながらない | VOICEVOX を起動する。設定の「VOICEVOX の URL」が http://127.0.0.1:50021 か |
つながりません | インターネットにつながっているか。しばらくして試す |
| 上に赤い帯(AI が使えません) | 当方の側の不具合。読みの確認は止まらず、AI を使わない読みになる。直るまで待つ(クレジットは減らない) |
| 「クレジットが足りません」 | 「クレジットを買う」、または「速い」段階で確かめる |
| 「リッチテキスト(RTF)のファイルです」 | テキストエディットで「フォーマット」→「標準テキストにする」→ 保存 |
| 「文字コードを読めません」 | テキストエディットで開き、UTF-8 で保存し直す |
| 開いたファイルの読みが確かめたときと違う | 「保存」したファイル(.yomiwake.json)を開いているか。テキストの原稿を開くと、確かめる前に戻る |
| 画面が真っ白 | アプリを閉じて開き直す。直らなければ info@yomiwake.dev へ |
問い合わせのときは、原稿の文を貼らないでください(誤読の例は、その語と前後の数語で十分です)。